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2026.9.2

外国人建設人材の受け入れ費用はいくらか──技人国・特定技能・育成就労・派遣を総額で比較【2026年版】

採用戦略

外国人材の受け入れを検討するとき、最初に聞かれるのは「いくらかかりますか」です。ところがこの問いには、月給の額だけでは答えられません。制度によって、月給以外にかかる固定費の構造がまったく違うからです。

たとえば特定技能「建設」は、他の分野にはない負担金と会費が制度として組み込まれています。一方で技人国には制度固有の負担金がなく、そのかわり採用と教育の初期費用が前に寄ります。派遣は初期費用がほぼゼロで月額に集約されます。同じ「1人受け入れる」でも、キャッシュが出ていくタイミングと総額はまるで違います。

さらに2026年10月1日から、在留許可の手数料が改定されます。在留資格の変更・在留期間の更新の手数料が、これまでの一律6,000円から、許可される在留期間の区分に応じた額へ変わります。金額の水準が一段変わるため、受け入れ計画のコスト試算は作り直しが必要です。この記事では、制度別の費用を初期・固定・月次の3層に分けて並べ、初年度と3年間の総額で比較します。

この記事の要点

  • 費用は「初期費用」「制度の固定費」「月々の人件費」の3層に分けると制度間で比較できる

  • 2026年10月1日から在留許可手数料が改定される。在留資格変更・在留期間更新は一律6,000円から、在留期間1年で窓口33,000円、5年以上で75,000円へ

  • 特定技能「建設」にはJACの年会費(賛助会員24万円)と受入負担金(1人あたり月12,500円)という制度固有の固定費がある

  • 技人国は制度固有の負担金がない一方、海外採用の場合は渡航費と日本語教育費が初期に集中する

  • 派遣は初期費用がほぼ発生せず月額単価に集約されるため、変動費として扱える

費用は3層に分けて比べる

制度をまたいで比較するには、費用を発生のしかたで3つに分けるのが最も分かりやすい方法です。

層

内容

特徴

初期費用

紹介手数料、渡航費、在留資格申請、日本語教育、住居の初期費用

稼働前に出ていく。採用が空振りするとそのまま損失になる

制度の固定費

JAC年会費・受入負担金、CCUS登録料、監理費、支援委託費

人数や在籍期間に応じて毎月・毎年かかる。制度によって有無が分かれる

月々の人件費

給与、法定福利費、住居補助、通勤費

日本人と同等額以上が制度上の要件。ここは制度間で大きくは変わらない

「月給が安いから外国人材」という発想が成り立たないのは、上の2層が制度ごとに積み上がるためです。総額で見ると、日本人の中途採用より安くなるとは限りません。判断の軸は単価ではなく、そもそも採れるかどうか、いつ稼働するか、辞めたときにどれだけ早く代替できるか、に置くべきです。

2026年10月、在留許可手数料が改定される

在留資格の変更と在留期間の更新の手数料が、一律6,000円から在留期間の区分に応じた額に変わります。金額の幅が大きいため、更新のたびに発生する費用として無視できない規模になります。

出入国在留管理庁が公表している改定内容は次のとおりです。

許可される在留期間

窓口

オンライン

3月以下

10,000円

10,000円

3月超6月以下

18,000円

15,000円

6月超1年未満

25,000円

21,000円

1年

33,000円

27,000円

1年超3年未満

48,000円

42,000円

3年以上5年未満

64,000円

56,000円

5年以上

75,000円

65,000円

改定前は在留資格変更許可・在留期間更新許可とも窓口6,000円、オンライン5,500円でした。永住許可は10,000円から200,000円になります。

実務上おさえるべき点は3つあります。

  • 2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の手数料が適用される

  • オンライン申請のほうが安い。ただし納付はコンビニ決済または銀行決済に限られ、収入印紙は使えず、別途決済手数料がかかる

  • 在留期間が短いほど1回あたりは安いが、更新の回数が増える。長期の在留期間を取れる体制のほうが、期間あたりの負担は軽くなる

在留資格認定証明書の交付申請自体には手数料がかからないため、海外から呼び寄せる初回の入国時点ではこの改定の影響を受けません。影響が出るのは2回目以降、つまり更新のタイミングからです。

技人国で受け入れる場合の費用

制度固有の負担金がないぶん、費用は採用と教育に集中します。

施工管理・設計・CAD/BIM・積算を担う技術者は技人国で受け入れます。協議会への加入義務も、支援計画の作成義務も、負担金もありません。かかるのは次のような費用です。

項目

目安

備考

紹介手数料

理論年収の30〜35%程度が一般的

派遣・海外採用など経路により異なる

在留資格認定証明書交付申請

手数料なし

行政書士に委託する場合は別途報酬

渡航費

10万〜20万円程度

海外から呼び寄せる場合

日本語教育

5万〜15万円程度

会社負担・本人負担のいずれもあり得る

住居の初期費用

15万〜30万円程度

保証人・保証会社の手配を含む

在留期間更新(2回目以降)

上の表のとおり

2026年10月以降。1年なら窓口33,000円

日本在住の外国人技術者を中途採用する場合、渡航費と日本語教育費がほぼ不要になり、初期費用は日本人の中途採用と大きく変わらない水準まで下がります。稼働までの期間も1〜2ヶ月に短縮できます。技人国の要件は建設技術者を「技人国」で受け入れる実務にまとめています。

特定技能「建設」で受け入れる場合の費用

建設分野には、他の分野にはない制度固有の固定費があります。ここが総額を押し上げる最大の要因です。

項目

金額

性質

JAC賛助会員 年会費

240,000円/年

所属する建設業者団体がJAC正会員でない場合。入会金なし

JAC受入負担金

12,500円/人・月(年150,000円)

令和6年7月分より1人あたり一律。本人に負担させることは禁止

CCUS事業者登録料

資本金に応じた額(5年更新)

資本金500万円未満で6,000円から

CCUS管理者ID利用料

11,400円/年

一人親方は2,400円

CCUS技能者登録料

簡略型2,500円/詳細型4,900円

インターネット申請の場合。1人につき1回

建設特定技能受入計画の認定

行政書士に委託する場合の報酬

国土交通大臣の認定が入管申請の前提になる

登録支援機関への委託費

月20,000〜30,000円程度とされる

自社支援なら不要だが体制構築が必要

固定費だけで、1人目は年間40万円前後の上乗せになります。2人目以降はJACの年会費が人数で割れるため、1人あたりの負担は下がります。少人数で始めるほど1人あたりの単価が高くつく構造だと理解しておいてください。

さらに、建設分野では月給制であること、同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬であることが受入計画の認定要件になっています。日給月給での運用はできません。手続きの全体像は特定技能「建設」の受け入れ、何から手をつけるかで整理しています。

育成就労で受け入れる場合の費用(2027年4月〜)

技能実習に代わる育成就労が2027年4月1日に施行されます。費用構造は技能実習に近いものになる見込みです。

監理団体は監理支援機関という新しい許可制の枠組みに移行し、2026年4月15日から施行前の許可申請が始まっています。受け入れ企業から見た費用は、監理支援機関への監理費、送出機関への費用、入国前後の教育費、そして育成就労計画の認定に関する費用が中心になります。

監理費の相場は技能実習と同水準(1人あたり月2万〜4万円程度)と見込まれますが、監理支援機関の許可要件が技能実習の監理団体より厳格化されるため、体制強化に伴って上振れする可能性があります。制度の詳細は育成就労で建設の受け入れはどう変わるかをご覧ください。

なお育成就労は未熟練者を3年かけて特定技能1号相当まで育てる制度です。即戦力が必要な場面のコスト比較の対象にはなりません。

派遣で受け入れる場合の費用

初期費用がほぼ発生せず、月額単価に集約されます。

派遣で受け入れられるのは施工管理・設計・CAD/BIM・積算といった技術業務です。現場作業は労働者派遣法で禁止されています(「建設業に派遣は使えない」は本当か)。

項目

金額

初期費用

原則なし

月額単価

職種・経験により変動。給与・法定福利費・派遣元の管理費を含む

契約期間

3〜6ヶ月単位の更新が一般的

社会保険・住居・在留資格の手続き

派遣元が負担

派遣が有効なのは、受注の見通しが立たない時期や、BIM・CAD のように業務量が波打つ領域です。総額では直接雇用より高くなりますが、採用の空振りリスクと固定費化のリスクを負わずに済みます。人数を増やす前の試験導入としても使えます。

初年度と3年間の総額イメージ

制度の固定費と初期費用だけを取り出して並べると、構造の違いがはっきりします。以下は月給を除いた、1人あたりの制度費用・初期費用の目安です。

制度

初年度(月給除く)

3年間(月給除く)

キャッシュが出るタイミング

技人国(海外から採用)

紹介手数料+渡航・住居・教育で100万円前後

+更新手数料(2026年10月以降)

稼働前に集中

技人国(日本在住者を採用)

紹介手数料が中心

+更新手数料

稼働前に集中するが総額は小さい

特定技能「建設」

40万円前後の固定費+認定・支援の委託費

固定費が毎年積み上がる

平準化されるが継続的

育成就労(2027年4月〜)

監理費・送出機関費用・入国前教育

監理費が毎月継続

継続的

派遣

実質ゼロ

月額単価のみ

稼働した月だけ

金額は職種・地域・人数で変動するため幅を持たせています。自社の条件で試算する際は、この表の構造だけを使って、単価は個別に確認してください。

見落としやすい費用

見積書に載らない費用が、実際には総額を左右します。

  • 通訳・翻訳:安全書類や施工要領書の多言語化。初年度に集中する

  • 住居:会社が借り上げる場合の保証料・原状回復費。単身用が確保できない地域では複数人での入居を前提にした物件探しが必要

  • 教育の時間:OJT担当者の時間は費用計上されないが、実際には最も大きなコスト

  • 離職したときの再調達:稼働までに再び数ヶ月かかる。定着率は直接の費用項目になる

  • 在留期間の更新:2026年10月以降、更新のたびに数万円が発生する。人数が増えると無視できない

最後の項目は特に注意が必要です。10人受け入れて全員が1年更新であれば、窓口申請で年間33万円になります。長い在留期間を取れるよう、雇用の安定性と業務内容の明確さを整えておくことが、そのまま費用削減につながります。

費用を下げる3つの打ち手

制度を変えずにできることが3つあります。

  1. 日本在住の候補者から採る:渡航費・入国前教育・在留資格認定証明書の取得期間がまるごと不要になる。稼働までの期間も1〜2ヶ月に縮む

  2. オンライン申請に切り替える:2026年10月以降、在留期間1年の更新で窓口33,000円に対しオンライン27,000円。決済手数料を差し引いても差が出る

  3. 長い在留期間を取りにいく:更新回数そのものを減らす。雇用契約の期間、業務内容の明確さ、報酬の水準が在留期間の判断材料になる

3つ目は費用対策であると同時に、本人にとっての安心材料でもあります。在留期間が1年しか出ない状態が続くと、住宅ローンや家族の帯同計画が立たず、それ自体が離職の理由になります。

よくある質問

Q. 2026年10月の手数料改定は、いま在留している人にも影響しますか?

次回の在留期間更新から影響します。2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月以降になっても改定前の額が適用されます。更新時期が近い方がいれば、9月中の申請を検討してください。

Q. 在留資格認定証明書の交付申請にも手数料がかかりますか?

かかりません。手数料が発生するのは在留資格の変更、在留期間の更新、永住許可です。海外から初めて呼び寄せる場合、この改定の影響は初回入国時には及びません。

Q. JACの受入負担金は誰が払うのですか?

受け入れ企業が負担します。直接的にも間接的にも、1号特定技能外国人本人に負担させることは禁止されています。給与から差し引くといった運用はできません。

Q. JACの年会費24万円は必ずかかりますか?

自社が所属する建設業者団体がJACの正会員であれば、賛助会員として個別に入会する必要はありません。まず自社の所属団体の状況を確認してください。所属団体がない、または正会員でない場合に賛助会員としての年会費が発生します。

Q. 特定技能と技人国では、どちらが総額で安いですか?

制度費用だけを見れば技人国のほうが小さくなります。ただし技人国は現場作業に従事させられないため、そもそも比較の対象になるのは施工管理・設計といった技術職に限られます。必要な仕事の中身が先で、費用は後から比べるものだと考えてください。

Q. 派遣は割高ではないですか?

月額単価だけを見れば直接雇用より高くなります。ただし採用の空振り、教育期間中の人件費、離職時の再調達コストが発生しない点を含めて比較する必要があります。業務量が読めない時期や、初めて外国人技術者を受け入れる場面では、総合的に安く収まることがあります。

Q. 費用の一部に使える助成金はありますか?

人材開発支援助成金など、教育訓練に関する助成金は外国人従業員も対象になり得ます。ただし制度ごとに要件が細かく、計画の事前提出が必要なものが多いため、受け入れの意思決定と並行して労働局に確認してください。

まとめ

  • 費用は初期費用・制度の固定費・月々の人件費の3層に分けると、制度をまたいで比較できる

  • 2026年10月1日から在留許可手数料が改定される。在留資格変更・在留期間更新は在留期間1年で窓口33,000円、5年以上で75,000円。2026年9月30日までの申請は改定前の額

  • 特定技能「建設」はJAC年会費24万円と受入負担金 月12,500円という制度固有の固定費がある。少人数ほど1人あたりが割高になる

  • 技人国は制度固有の負担金がなく、費用は採用と教育に集中する。日本在住者を採れば初期費用は大きく下がる

  • 派遣は初期費用が実質ゼロで月額に集約されるため、業務量が読めない時期の選択肢になる

  • 見積書に載らない通訳・住居・OJTの時間、そして離職時の再調達こそが総額を左右する

淡路グローバルゲートウェイ(AGG)では、インドの提携大学を母集団として、建設技術者のご紹介と派遣、および登録支援機関としての特定技能の受け入れ支援を行っています。「自社の場合いくらかかるか」の試算からご相談いただけますので、無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

監修者

Naoya Mitani /淡路グローバルゲートウェイ(AGG) 事業統括責任者

インドITエンジニアの可能性に着目し、AGGのIT人財部を設立しました。事業統括責任者として、エンジニア派遣事業の戦略立案と実行を担っています。

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