外国人エンジニアの採用方法を比較──人材紹介と派遣の違い、直接雇用・日本在住者の受け入れまで【2026年版】
業界分析

外国人エンジニアの採用を検討すると、最初に「人材紹介と派遣のどちらがよいのか」という問いにぶつかります。費用の比較から入りがちですが、両者は料金体系の違いではなく、誰が雇用主になるかという法律上の仕組みが違います。この違いが、合わなかったときの止め方、在留資格の手続きの担い手、自社の採用基準との関係まで決めています。
外国人の場合は、さらに在留資格が絡みます。2026年3月9日の申請分から、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国)で派遣として働く場合の提出書類が変わり、派遣先も誓約書を出すことになりました。派遣は「派遣会社に任せれば終わり」ではなくなっています。
この記事では、外国人エンジニアの採用方法を4つに分けて比較し、人材紹介と派遣の違いを法律・費用の出方・在留資格の3つの面から整理いたします。後半では、弊社がご提案した選考で実際に見られた点をもとに、「採用できない」ときにどの方法を選ぶかをまとめます。
この記事の要点
外国人エンジニアの採用方法は「直接雇用(海外から招へい)」「人材紹介」「派遣(海外から招へい)」「日本在住者の派遣」の4つに分けると比べやすい
人材紹介は職業安定法の「雇用関係の成立のあつせん」で、雇用主は自社。派遣は労働者派遣法にもとづき、雇用主は派遣会社で、自社は指揮命令を行う
2026年3月9日の申請分から、技人国で派遣として働く場合は派遣元用・派遣先用の誓約書と労働者派遣個別契約書の写しが必要になった。派遣先が確定していない申請は許可されない
費用の差より大きいのは「就業開始までの期間」。日本在住で技人国を持つ方は前職の退職時期しだいで1〜2か月程度、海外から呼ぶ場合は半年前後かかることもある
「応募が来ない」なら母集団を広げる、「基準に合う人がいない」なら基準を変えずに受け入れられる派遣、と打ち手を分ける
外国人エンジニアの採用方法は4つに分けて比べる
外国人エンジニアの採用方法は、雇用主が誰か、候補者がいまどこに住んでいるかの2軸で4つに分けると、違いがはっきりします。
比較項目 | 直接雇用(海外から招へい) | 人材紹介 | 派遣(海外から招へい) | 日本在住者の派遣 |
|---|---|---|---|---|
雇用主 | 自社 | 自社 | 派遣会社 | 派遣会社 |
費用の出方 | 求人・渡航・住居など自社で手配 | 入社時に紹介手数料を一括 | 稼働した月の派遣料金 | 稼働した月の派遣料金 |
合わなかったとき | 自社の雇用のため、すぐには解消できない | 自社の雇用。返金規定は事業者ごとに異なる | 契約期間の終了で止められる | 契約期間の終了で止められる |
在留資格の申請で所属機関になるのは | 自社 | 自社 | 派遣会社(派遣先も誓約書を提出) | 派遣会社(申請の際は派遣先も誓約書を提出) |
就業開始までの目安 | 半年前後かかることもある | 候補者の居住地しだい | 半年前後かかることもある | 前職の退職時期しだいで1〜2か月程度 |
自社の採用基準 | 正社員の基準に合わせる | 正社員の基準に合わせる | 正社員の基準を変えずに受け入れられる | 正社員の基準を変えずに受け入れられる |
就業開始までの目安は、弊社が行政書士に確認した直近の実務と、弊社のご提案実績にもとづくものです。管轄の出入国在留管理局や時期によって変わります。
人材紹介と派遣の違いは「雇用主が誰か」で決まる
人材紹介と派遣の違いは、料金ではなく雇用関係の作り方にあります。人材紹介で決まった方は自社の社員になり、派遣で来た方は派遣会社の社員のまま自社で働きます。
職業安定法第4条第1項は、職業紹介を「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすること」と定めています。紹介会社の役割は、雇用契約が成立した時点で終わります。これに対して労働者派遣法第2条第1号は、労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定めています。雇用契約は派遣会社と本人の間にあり、派遣先と本人の間にはありません。
比較項目 | 人材紹介 | 労働者派遣 |
|---|---|---|
根拠となる法律 | 職業安定法 | 労働者派遣法 |
雇用契約を結ぶのは | 自社と本人 | 派遣会社と本人 |
業務の指揮命令 | 自社 | 自社(派遣先として) |
給与・社会保険の手続き | 自社 | 派遣会社 |
費用 | 紹介手数料(入社時) | 派遣料金(稼働した月) |
期間の制限 | なし(自社の雇用) | 同じ派遣労働者を同じ組織単位で受け入れられるのは原則3年まで(派遣会社に無期雇用されている方などは対象外) |
事前の面接 | できる | 派遣先は、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努めることとされている(紹介予定派遣を除く) |
紹介手数料の決め方には、上限制手数料と届出制手数料の2つの方式があります。上限制手数料の上限は、職業安定法施行規則の別表で、原則として支払われた賃金額の100分の11(免税事業者は100分の10.3)に相当する額と定められています(6か月を超えて雇用された場合は、6か月間の賃金をもとに算定します)。届出制手数料は、事業者が厚生労働大臣に届け出た手数料表にもとづくものです。手数料の総額の考え方は外国人・半導体エンジニアの採用費用はいくらかで、派遣料金の公的な統計は外国人建設人材の受け入れ費用はいくらかで整理しております。
派遣には期間の制限があります。期間の管理は派遣の抵触日と3年ルールを外国人エンジニアで管理するにはをご覧ください。事前に面接をしたうえで直接雇用に切り替える前提で受け入れたい場合は、紹介予定派遣という中間の形もございます。
外国人の場合に増える違い──在留資格の手続きを誰が担うか
外国人エンジニアの場合、人材紹介と派遣の違いは在留資格の手続きにも表れます。紹介なら自社が所属機関として申請に関わり、派遣なら派遣会社が所属機関になります。ただし2026年3月からは、派遣でも派遣先が書類を出す場面が増えました。
出入国在留管理庁の「在留資格『技術・人文知識・国際業務』をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて」(令和8年7月)によると、令和8年3月9日の申請分から、申請人の派遣労働に関する誓約書(派遣元用・派遣先用)と、労働条件通知書・労働者派遣個別契約書の写しが必要になりました。あわせて、申請時点で派遣先が確定していなければ許可等を受けられないこと、在留期間は派遣契約期間に応じて決まること、審査の際に派遣先にも業務内容や活動状況を直接確認する場合があることも示されています。紹介で受け入れる場合には、こうした派遣先側の書類はございません。
実務上効いてくるのは在留期間の扱いです。派遣契約を短い期間で結ぶと、在留期間も短く決まりやすくなります。2026年10月1日からは在留資格の変更・更新の手数料が許可される在留期間に応じた額に改定されており、更新の回数が増えるほど手間と費用がかかります。誓約書の具体的な中身と、派遣先として気をつける点は「建設業に派遣は使えない」は本当かで整理しております。
就業開始までの期間は「どこに住んでいるか」で決まる
採用方法を選ぶ前に、候補者がいま日本に住んでいるかどうかを確認してください。費用の差よりも、就業開始までの期間の差のほうが大きいからです。
候補者の状況 | 在留資格の手続き | 就業開始までの目安 |
|---|---|---|
日本在住・技人国 | 業務が資格の範囲内で、学歴・職歴と関連していれば、在留資格はそのままで転職できる。就労資格証明書は転職後に申請でき、勤務先を変えた場合の標準処理期間は1〜3か月 | 前職の退職時期しだいで1〜2か月程度 |
日本在住・高度専門職1号 | 活動できる所属機関が指定されているため、転職で所属機関が変わるときは在留資格の変更申請が必要。前職に在籍中でも申請できる | 審査に1か月半程度から |
海外在住 | 在留資格認定証明書の交付申請(標準処理期間は1〜3か月)→査証→渡航 | 内定から半年前後かかることもある |
期間の目安は、弊社が行政書士に確認した直近の実務にもとづくものです。日本在住の方の手続きの詳細はすでに日本にいる外国人エンジニアを中途採用する、海外から呼ぶ場合の流れは海外エンジニアの派遣受け入れガイドをご覧ください。
選考で実際に見られている点──弊社のご提案実績から
採用方法の選択と同じくらい結果を左右するのが、候補者の経歴と求人の業務内容の一致です。弊社が半導体分野でご提案した外国人エンジニアの選考では、分野が近いだけでは通らず、次の4点で見送りと通過が分かれました。
見られた点 | 見送りになった例 | 通過した例 |
|---|---|---|
就業開始の時期 | 海外在住で、就業開始が約6か月先になる候補者が「開始日が先」として見送られた | 日本在住で就労できる在留資格をお持ちの方を優先してご提案した |
量産の現場での経験 | プロセス系の求人で、研究機関・大学のクリーンルーム中心の経歴が「量産現場の経験が確認できない」として見送られた | 量産経験が「尚可」の求人では、業務の一致が強い研究機関出身者が先へ進んだ |
業務内容の一致 | 職種名は近いが、実際の経歴が解析寄りだったため見送られた | 求人の業務内容の各行に、経歴が直接当たる方が職場見学・内定まで進んだ |
言語 | 英語で受け入れる求人でも、面談で英語でのやり取りが難しいと判断された | 英語で受け入れる部署かどうかを、求人ごとに先に確認してからご提案した |
この経験から、弊社では求人の業務内容を1行ずつ候補者の経歴と照らし合わせ、業務の過半が経歴に直接当たるかどうかでご提案の可否を判断しております。どの採用方法を選んでも、求人票の書き方が曖昧なままでは見送りが続きます。業務内容の書き方は半導体の求人票はどう書くか、見送りと通過の類型は外国人半導体エンジニアの受け入れ事例で詳しく整理しております。
「採用できない」ときは、原因で方法を選ぶ
「求人を出しても採用できない」とき、どの方法を使うかは、費用の額よりも原因で決まります。原因が違えば、効く方法も違います。
採用できない原因 | 起きていること | 向いている方法 |
|---|---|---|
応募自体が来ない | 国内の日本人の母集団が薄い | 日本在住の外国人エンジニアに母集団を広げる。足りなければ海外からの招へい |
応募はあるが基準に合わない | 正社員の採用基準が処遇制度と結びついていて、簡単に緩められない | 正社員の基準を変えずに受け入れられる派遣 |
決まっても早く辞める | 業務内容と経歴の一致が弱い、受け入れ準備が足りない | 業務内容の行単位の照合と、受け入れ体制の見直し |
急いでいるのに決まらない | 就業開始までの期間が長い候補者に当たっている | 日本在住で就労できる在留資格をお持ちの方から当たる |
派遣が向いているのは、受け入れの効果を見極めたい時期と、業務量の見通しが立たない時期です。派遣の費用は稼働した月にだけかかり、契約期間の終了で止められます。この「人件費を変動費にできること」と「自社の採用基準を変えずに受け入れられること」の2点が、紹介との本質的な違いです。逆に、長く社内に抱えて育てたい方には、最初から紹介か直接雇用が合います。
派遣で受け入れられない業務と、在留資格の範囲
派遣を選ぶ場合は、受け入れられる業務の範囲を先に確認してください。範囲を外れると、労働者派遣法と在留資格の両方の問題になります。
労働者派遣法第4条第1項は、港湾運送業務、建設業務、警備業務などについて労働者派遣事業を行うことを禁止しています。同法でいう建設業務は「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」で、現場での作業そのものを指します。施工管理・設計・CAD・BIM・積算といった技術業務は派遣で受け入れられます。弊社は建設分野の技術者派遣を、すべて貴社の拠点・現場への常駐(オンサイト)でお引き受けしております。施工管理の派遣については海洋・洋上風力/施工管理エンジニア派遣をご覧ください。
在留資格の面では、技人国で働く方に、資格の範囲外の単純作業をさせることはできません。2026年3月9日の申請分からは、派遣先も派遣労働に関する誓約書を提出します。人手が足りない現場で「少しだけ作業を手伝ってもらう」という運用は、派遣先の誓約違反になり得ます。
よくある質問
Q. 外国人エンジニアの派遣と紹介の違いは何ですか?
雇用主が違います。紹介で決まった方は自社と雇用契約を結び、自社の社員になります。派遣の方は派遣会社と雇用契約を結んだまま、自社の指揮命令を受けて働きます。そのため、費用の出方(紹介は入社時に手数料、派遣は稼働した月の派遣料金)、合わなかったときの止め方、在留資格の申請で所属機関になる会社が変わります。
Q. 人材紹介と派遣は、どちらが安いですか?
期間によって変わります。紹介は入社時に手数料を一括で支払い、その後は給与と社会保険料がかかります。派遣は初期費用がほとんどかからないかわりに、稼働している間は派遣料金がかかり続けます。月あたりの負担は派遣のほうが大きくなりやすい一方、合わなかったときに契約期間の終了で費用を止められます。比べるときは、同じ期間・同じ前提でそろえてください。
Q. 外国人を派遣で受け入れるとき、派遣先が出す書類はありますか?
あります。出入国在留管理庁によると、2026年3月9日の申請分から、技人国で派遣として働く場合は、申請人の派遣労働に関する誓約書(派遣元用・派遣先用)と、労働条件通知書・労働者派遣個別契約書の写しが必要です。派遣先が確定していない申請は許可されないため、受け入れを決めてから申請する順番になります。
Q. 派遣で受け入れた外国人エンジニアに、現場の作業を手伝ってもらってもよいですか?
避けてください。技人国で働く方に、在留資格の範囲外の単純作業をさせることはできません。2026年3月9日の申請分からは、派遣先も派遣労働に関する誓約書を提出します。建設業の場合は、土木・建築などの作業そのもの(建設業務)が、労働者派遣法で派遣が禁止されている業務でもあります。
Q. エンジニアの求人を出しても採用できないとき、何から見直せばよいですか?
まず「応募が来ない」のか「応募はあるが基準に合わない」のかを分けてください。応募が来ないなら、母集団を日本在住の外国人エンジニアに広げることを検討します。基準に合わないなら、必須要件を業務内容の単位で見直すか、正社員の基準を変えずに受け入れられる派遣を使うのが現実的です。
Q. 日本在住の外国人エンジニアと、海外から呼ぶ場合では何が違いますか?
最も大きいのは就業開始までの期間です。日本在住で技人国をお持ちの方は、業務が資格の範囲内なら在留資格を変えずに転職でき、前職の退職時期しだいで1〜2か月程度で就業を始められます。海外から呼ぶ場合は在留資格認定証明書の交付申請から始まり、半年前後かかることもあります。高度専門職1号の方は、転職で所属機関が変わるときに在留資格の変更申請が必要です。
Q. 派遣で受け入れた方を、あとから直接雇用に切り替えられますか?
切り替えられます。最初から直接雇用を前提にするなら、事前の面接ができる紹介予定派遣を使う方法もございます。切り替える際は所属機関が変わるため、出入国在留管理庁への所属機関に関する届出などが必要になります。派遣会社との契約に、直接雇用に切り替える場合の取り決めがあるかどうかも、事前にご確認ください。
まとめ
外国人エンジニアの採用方法は「直接雇用(海外から招へい)」「人材紹介」「派遣(海外から招へい)」「日本在住者の派遣」の4つに分けて比べる
人材紹介と派遣の違いは雇用主。紹介は自社が雇用し、派遣は派遣会社が雇用して自社が指揮命令する
2026年3月9日の申請分から、技人国で派遣として働く場合は派遣先も誓約書を出す。派遣先が決まっていない申請は許可されず、在留期間は派遣契約期間に応じて決まる
費用より大きく効くのは就業開始までの期間。急ぎの求人は、日本在住で就労できる在留資格をお持ちの方から当たる
どの方法でも、求人の業務内容と経歴が1行ずつ一致しているかで選考の結果が分かれる
「応募が来ない」なら母集団を広げ、「基準に合わない」なら基準を変えずに受け入れられる派遣を選ぶ
淡路グローバルゲートウェイ(AGG)では、日本在住の外国人エンジニアを中心に、派遣と紹介の両方でご支援しております。「この求人は紹介と派遣のどちらが合うか」というご相談だけでも承ります。無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。
監修者
Naoya Mitani /淡路グローバルゲートウェイ(AGG) 事業統括責任者
インドITエンジニアの可能性に着目し、AGGのIT人財部を設立しました。事業統括責任者として、エンジニア派遣事業の戦略立案と実行を担っています。


