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2026.10.1

紹介予定派遣で外国人エンジニアを受け入れる──6か月の見極め、事前面接、直接雇用切替の在留資格【2026年版】

グローバル人材

装置エンジニアの正社員採用で、外国人の候補者と3回の面接を重ねて内定を出した。経歴書には装置の立ち上げと保守の経験が並び、面接での受け答えも申し分なかった。ところが入社して3か月が過ぎたころ、配属先の課長から「想定していた業務と経験の中身が違う」と相談が来る。面接では確かめきれなかった部分が、実務に入って初めて見えた形である。

外国人エンジニアの採用では、経歴書の職種名と実際の業務の中身がずれることが珍しくない。弊社の支援の中でも、職種名は近いのに業務がずれていたために見送られた例や、英語で受け入れる部署でも「英語でのコミュニケーションが難しい」という理由で見送られた例がある。面接だけで見極めるには限界があり、かといって通常の派遣では、派遣先が事前に面接して人を選ぶことができない。

この両方の弱点を埋める選択肢が、紹介予定派遣である。派遣として一定期間働いてもらい、双方が合意すれば直接雇用に切り替える。この記事では、外国人エンジニアの受け入れを検討する人事部長・技術部門長向けに、紹介予定派遣の仕組みと法令上のルール、通常の派遣・人材紹介との違い、直接雇用に切り替える際の在留資格の確認、そして使うべき場面と使わないほうがよい場面を整理します。

この記事の要点

  • 紹介予定派遣は、派遣の開始前または開始後に、派遣元が派遣先へ職業紹介を行うことを予定した労働者派遣である。派遣元は労働者派遣事業と職業紹介事業の両方の許可が必要になる。

  • 同じ派遣労働者についての派遣期間は6か月以内である。通常の派遣と違い、事前面接や履歴書の送付など派遣労働者を特定する行為ができる。

  • 直接雇用に切り替えた後は試用期間を設けない。派遣期間が見極めの期間を兼ねるためである。

  • 外国人の場合、直接雇用への切替で在留資格の手続きが要るかどうかは資格によって異なる。技人国は本人の届出が中心だが、高度専門職1号は切替前に在留資格変更許可が必要になる。

  • 業務の一致や職場での英語・日本語の通用度など、面接で確かめにくい点を実務で確認したいときに向いている。

紹介予定派遣は「直接雇用を前提にした派遣」である

紹介予定派遣は、派遣期間の終了後に派遣先が直接雇用することを予定して行う労働者派遣である。労働者派遣法では、派遣元が派遣の開始前または開始後に、派遣労働者と派遣先について職業紹介を行い、または行うことを予定するものと定義されている。

仕組みとしては、派遣と職業紹介を組み合わせたものになる。派遣期間中は派遣元が雇用主であり、派遣先は指揮命令を行う。期間の終了時に、派遣先と本人の双方が合意すれば、派遣元の職業紹介を経て派遣先が直接雇用する。どちらかが合意しなければ、直接雇用には進まない。

このため、派遣元は労働者派遣事業の許可と有料職業紹介事業の許可の両方を持っている必要がある。取引を始める前に、派遣元が両方の許可を持っているかを確認しておく。許可の有無は厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できる。

製造業務への労働者派遣は2004年から可能になっており、半導体の工場で働く技術者を紹介予定派遣で受け入れることもできる。ただし外国人エンジニアの場合は、後述するとおり在留資格が認める業務の範囲に収まっている必要がある。

通常の派遣・人材紹介・直接採用とはここが違う

紹介予定派遣は、選考ができる点では人材紹介に近く、実務で見極められる点では派遣に近い。4つの受け入れ方を並べると、違いは次のとおりである。

論点

通常の派遣

紹介予定派遣

人材紹介

自社での直接採用

雇用主

派遣元

派遣期間中は派遣元、切替後は自社

自社

自社

事前面接・履歴書の送付

派遣先は特定する行為をしないよう努める

可能

可能

可能

期間

事業所単位・個人単位の期間制限

同じ人について6か月以内

定めなし

定めなし

実務での見極め

可能(ただし直接雇用が前提ではない)

可能

入社後の試用期間

入社後の試用期間

直接雇用後の試用期間

-

設けない

設けられる

設けられる

費用の種類

派遣料金

派遣料金と紹介手数料

紹介手数料

採用活動の費用

通常の派遣では、紹介予定派遣を除き、派遣先は事前面接など派遣労働者を特定する行為をしないよう努めることとされている。職場見学は可能だが、派遣先が候補者を面接で選ぶ運用はできない。紹介予定派遣はこの例外であり、派遣先が選考に関与できる。

人材紹介との違いは、入社前に実務で確認できるかどうかである。人材紹介では、面接で判断して雇用契約を結び、実務での見極めは入社後の試用期間に行う。紹介予定派遣では、雇用契約を結ぶ前に最長6か月の実務期間がある。採用手法全体の比較は外国人エンジニアの採用方法を比較で扱っている。

法令上のルールは6つ押さえておく

紹介予定派遣には、通常の派遣にはない独自のルールがある。厚生労働省の業務取扱要領と、派遣先が講ずべき措置に関する指針に定められたものを中心に、派遣先が押さえておくべき点は次の6つである。

ルール

内容

派遣先の実務

派遣期間

同じ派遣労働者について6か月を超えない

見極めの期間を6か月以内で設計する

特定する行為

事前面接、履歴書の送付、試験の実施などができる

選考の基準を業務に関連する内容に限る

契約書への記載

労働者派遣契約に紹介予定派遣に関する事項を記載する

直接雇用後に予定する労働条件を先に決める

本人への明示

派遣元は紹介予定派遣である旨を本人に明示する

派遣元が明示した内容と矛盾しない条件にする

雇用しない場合の理由

派遣先は、派遣元の求めに応じ、職業紹介を受けない理由や雇用しない理由を明示する

評価の記録を残し、理由を説明できるようにする

試用期間

切替後に試用期間を設けない

見極めは派遣期間中に済ませる

とくに重要なのが、雇用しない場合の理由の明示である。紹介予定派遣では、派遣先が直接雇用しない場合や、職業紹介を受けることを希望しない場合に、派遣元の求めに応じてその理由を明示することとされている。この理由は派遣元を通じて本人に伝わる。「なんとなく合わない」では説明にならないため、派遣期間中に業務の評価を記録しておく必要がある。

選考で特定する行為が認められているといっても、選考の基準は業務の遂行に必要な能力に限るのが原則である。国籍や出身地など業務と関係のない事項で選別することは、公正な採用選考の考え方に反する。

期間制限との関係は、通常の派遣と分けて考える

紹介予定派遣も労働者派遣であることに変わりはなく、派遣先の事業所単位の期間制限の計算から外れるわけではない。ただし同じ人についての派遣期間が6か月以内に限られるため、個人単位の3年の期間制限が問題になることは通常ない。

論点

通常の派遣

紹介予定派遣

同じ人を同じ組織単位で受け入れられる期間

3年(延長不可)

6か月以内

事業所単位の期間制限

原則3年、意見聴取で延長可

通常の派遣と同じく計算に含まれる

期間終了後の選択肢

更新、終了、直接雇用

直接雇用、または終了

通常の派遣で長く受け入れた後に直接雇用へ切り替える方法もある。この場合は抵触日と在留期間を同じ台帳で管理しながら、切替の時期を選ぶことになる。その実務は派遣の抵触日と3年ルールを外国人エンジニアで管理するにはで扱っている。紹介予定派遣は、最初から直接雇用を目的にしている点で、この方法とは設計の出発点が違う。

外国人エンジニアで紹介予定派遣が効く場面

紹介予定派遣が最も効くのは、面接では確かめにくい「業務の一致」と「職場での言語の通用度」を、雇用前に実務で確かめたい場面である。外国人エンジニアの採用では、この2点での見込み違いが多い。

弊社が客先の選考で見送られた理由を振り返ると、次のような傾向がある。

見送りの理由

面接での見極めやすさ

紹介予定派遣での確認

業務の中身のずれ(検査の求人に解析寄りの経歴など)

経歴書の職種名だけでは見抜きにくい

実際の業務で担当範囲を確認できる

量産現場の経験の有無

経歴の説明で一定程度は確認できる

量産装置での実務で確認できる

職場での英語・日本語の通用度

面接の会話だけでは判断しにくい

会議や報告の場で確認できる

開始時期

選考前に確認できる

紹介予定派遣でも解決しない

反対に、紹介予定派遣では解決しない問題もある。開始時期はその代表である。弊社の支援では、海外在住でビザ待ちに約6か月かかる候補者が、急ぎの求人で「開始日が先付」という理由で見送られた例がある。紹介予定派遣であっても、海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書の交付申請が必要で、その標準処理期間は1〜3か月とされる。着任の早さが優先なら、日本在住で就労可能な在留資格を持つ人から探すほうが確実である。

一方で、業務の一致が強ければ、量産経験が「尚可」の求人では通ることもある。弊社の支援の中では、材料系で量産未経験の候補者が、求人の中核業務(SEM/EDXでの欠陥解析・測定・データ解析)と経歴が一致していたため、職場見学まで進んだ例がある。こうした「条件の一部は満たさないが、中核業務は合う」候補者こそ、実務で見極める価値が高い。求人票の業務内容の書き方は半導体エンジニアの求人票テンプレートで扱っている。

直接雇用への切替では、在留資格を先に確認する

外国人エンジニアを紹介予定派遣から直接雇用に切り替える場合、在留資格の手続きが要るかどうかは、本人の在留資格によって異なる。切替日の直前に確認すると、就業開始が遅れる。

在留資格

派遣期間中

直接雇用への切替時

注意点

技術・人文知識・国際業務

派遣元の雇用で就労

在留資格はそのまま。本人が14日以内に所属機関等に関する届出

業務が在留資格の範囲に収まるか確認する。就労資格証明書は任意で1〜3か月

高度専門職1号

派遣元を所属機関として指定

切替前に在留資格変更許可が必要

東京出入国在留管理局で1.5か月〜が目安。許可前は自社で就労できない

永住者・定住者など身分系

制限なし

手続きなし

日本人と同じ扱い

高度専門職1号の人を紹介予定派遣で受け入れる場合は、6か月の派遣期間のうち、切替前の少なくとも1.5か月以上を変更許可の審査に充てる前提で、見極めの時期を前倒しにしておく。切替日に許可が下りていなければ、派遣は終了しているのに自社で働けない空白が生じる。

技人国の人で注意したいのは、業務の範囲である。技人国は、設計、プロセス、装置、解析といった技術の業務が対象で、製造ラインのオペレーターなどの単純作業は対象外である。派遣期間中の業務と、直接雇用後に予定する業務の両方が在留資格の範囲に収まっている必要がある。2026年3月9日の申請分から、技人国で派遣就労する人の在留諸申請には派遣先の誓約書などが求められるようになった点も、派遣期間中の手続きとして押さえておく。制度の詳細は技人国の2026年改正にまとめている。

国内在住者を採用する場合の手続き全体はすでに日本にいる外国人エンジニアを中途採用するで扱った。

6か月の派遣期間を見極めに使う設計

紹介予定派遣の価値は、6か月以内の派遣期間をどう設計するかで決まる。漫然と働いてもらうだけでは、期間の終わりに判断材料がそろわない。

時期

派遣先が行うこと

見極める点

受け入れ前

求人票の業務内容を行単位で整理し、評価項目にする

業務の過半が経歴に当たるか

1か月目

業務の立ち上がり、報告・相談の仕方を確認

職場の言語で業務が回るか

2〜3か月目

中核業務を担当してもらい、成果を記録

求人の中核業務との一致

4か月目以降

直接雇用後の条件を本人と派遣元に示す

双方の意向の確認

切替の前

在留資格の確認、必要なら変更許可の申請

切替日に就労できる状態か

評価項目は、求人票の業務内容の各行と経歴を1対1で照合したものを、そのまま実務での確認項目にするとよい。弊社でも、業務の過半が経歴に直接当たるかで適合を判断しており、この照合表が紹介予定派遣の評価表の土台になる。評価を記録しておけば、直接雇用しない場合の理由の明示にもそのまま使える。

直接雇用後の労働条件は、派遣期間の途中で本人に示す。外国人エンジニアは、在留期間の更新や家族の呼び寄せなど、雇用条件をもとに生活の計画を立てることが多い。切替の直前まで条件が決まらないと、本人が他社の選択肢を検討し始める。

紹介予定派遣を選ばないほうがよい場面

紹介予定派遣は万能ではなく、目的によっては通常の派遣や人材紹介のほうが合う。選ぶ前に、次の点を確認しておく。

第一に、直接雇用を予定していない場合である。一定期間だけ専門人材が必要なら、通常の派遣のほうが合う。派遣は3〜6か月ごとの更新で稼働を続ける例が多く、必要な期間だけ受け入れる設計ができる。第二に、候補者がすでに他社から正社員の内定を得ている場合である。日本在住の技術者は他社との競合が起きやすく、6か月の派遣期間を条件にすると、直接雇用のオファーを出した他社に先を越されることがある。第三に、派遣元が職業紹介の許可を持っていない場合で、そもそも紹介予定派遣として受け入れられない。

外国人エンジニアの受け入れ全体の流れはインド人エンジニアの派遣でも扱っている。

よくある質問

Q. 紹介予定派遣なら、外国人エンジニアの事前面接をしてもよいですか

はい、できます。通常の派遣では、紹介予定派遣を除き、派遣先は事前面接など派遣労働者を特定する行為をしないよう努めることとされていますが、紹介予定派遣はその例外です。履歴書の送付を受けたり、面接や試験を行ったりすることができます。ただし選考の基準は業務の遂行に必要な能力に限り、国籍など業務と関係のない事項で選別しないようにしてください。

Q. 派遣期間は最長どれくらいですか

同じ派遣労働者についての派遣期間は6か月以内です。通常の派遣のように3年まで受け入れることはできません。6か月の中で業務の一致や職場での言語の通用度を見極め、直接雇用に進むかどうかを判断します。外国人の場合は在留資格の手続きの期間も考慮し、見極めの時期を前倒しに設計しておくと安心です。

Q. 直接雇用に切り替えた後、試用期間を設けてもよいですか

紹介予定派遣で直接雇用した場合は、試用期間を設けないこととされています。派遣期間そのものが見極めの期間を兼ねているためです。業務の評価は派遣期間中に済ませ、切替の時点では本採用として迎える前提で準備してください。

Q. 派遣期間の終了後、直接雇用しないこともできますか

できます。紹介予定派遣は直接雇用を予定するものですが、派遣先と本人の双方が合意した場合に限って直接雇用に進みます。ただし派遣先が雇用しない場合は、派遣元の求めに応じてその理由を明示することとされています。派遣期間中に業務の評価を記録し、理由を具体的に説明できるようにしておいてください。

Q. 技人国の外国人を紹介予定派遣から直接雇用する場合、入管の手続きは必要ですか

業務が技人国の範囲に収まっていれば、在留資格の変更は必要ありません。本人が14日以内に所属機関等に関する届出を行います。就労資格証明書の取得は任意で、標準処理期間は1〜3か月です。一方、高度専門職1号の方は所属機関が指定されているため、切替前に在留資格変更許可が必要で、東京出入国在留管理局では1.5か月以上が目安になります。

Q. 海外在住のエンジニアを紹介予定派遣で受け入れることはできますか

派遣元が雇用して在留資格を取得すれば可能です。ただし在留資格認定証明書の交付申請の標準処理期間は1〜3か月で、弊社の実績ではビザ待ちを含めて就業開始まで約6か月かかることが多いです。急ぎの求人では開始時期が理由で見送られることもあるため、着任を急ぐ場合は日本在住で就労可能な在留資格を持つ方を優先してご検討ください。

Q. 紹介予定派遣の費用はどうなりますか

派遣期間中の派遣料金に加え、直接雇用に切り替えた時点で職業紹介の手数料が発生するのが一般的です。金額や算定方法は派遣元との契約で定めます。通常の派遣から直接雇用に切り替える場合とは契約の立て付けが異なるため、手数料の条項を受け入れ前に確認してください。

まとめ

  • 紹介予定派遣は、直接雇用を予定して行う労働者派遣である。派遣元には労働者派遣事業と職業紹介事業の両方の許可が必要になる。

  • 同じ人についての派遣期間は6か月以内。事前面接や履歴書の送付ができ、切替後は試用期間を設けない。

  • 直接雇用しない場合は、派遣元の求めに応じて理由を明示する。派遣期間中の評価の記録が欠かせない。

  • 業務の中身のずれや職場での言語の通用度など、面接で確かめにくい点を実務で確認したいときに向いている。開始時期の問題は解決しない。

  • 直接雇用への切替では在留資格を先に確認する。技人国は本人の届出が中心、高度専門職1号は切替前に変更許可が必要。

  • 求人票の業務内容を行単位で整理し、そのまま派遣期間中の評価表にする。

淡路グローバルゲートウェイ(AGG)では、日本在住者を中心とした外国人エンジニアの派遣とご紹介を行っており、紹介予定派遣による受け入れもご相談を承っております。求人票の業務内容と経歴の照合、在留資格と切替時期の確認までを一貫してご支援しておりますので、無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

監修者

Naoya Mitani /淡路グローバルゲートウェイ(AGG) 事業統括責任者

インドITエンジニアの可能性に着目し、AGGのIT人財部を設立しました。事業統括責任者として、エンジニア派遣事業の戦略立案と実行を担っています。

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