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2026.9.29

外国人半導体エンジニアの受け入れ事例──見送りと通過を分けた6つの類型と採用側の対策【2026年版】

導入事例

外国人の半導体エンジニアを受け入れた企業の事例を探すと、見つかるのは「採用して成功した」話ばかりである。しかし、採用担当者が本当に知りたいのは、どんな候補者が、どんな求人で、なぜ見送られたのかという側の情報だ。書類の段階で見送りが続くと、求人票の書き方が悪いのか、候補者の選び方が悪いのか、そもそも外国人の採用が向いていないのかが分からなくなる。

実際には、見送りの理由はいくつかの型に収まる。開始時期が合わない、量産の経験がない、職種名は同じでも業務がずれている、半導体の経験そのものがない、言語で折り合わない。逆に、量産経験がなくても業務の中身が強く一致して選考が進む例もある。型が分かれば、求人票と候補者選びの段階で手を打てる。

この記事では、弊社が外国人半導体エンジニアのご紹介・派遣をご支援する中で見られた典型的な経過を、6つの類型事例として紹介する。いずれも特定の企業・求人・候補者を示すものではなく、複数の経過をもとに特定できないよう再構成したものである。

この記事の要点

  • 事例は、弊社の支援の中で見られた典型例をもとに、企業・求人・候補者が特定できないよう再構成した類型である。

  • 開始時期の見送りは、海外在住でビザ待ちが必要な候補者を急ぎの求人に出したときに起きる。日本在住で就労可能な人への切り替えが有効である。

  • プロセス系の求人では、研究・大学のクリーンルーム中心の経歴は「量産現場の経験がない」と判断されやすい。

  • 職種名が近くても業務がずれていれば見送られる。検査と解析、WETとCMPは別の仕事として扱われる。

  • 量産経験がなくても、求人の中核業務と経歴が直接一致すれば、量産経験が「尚可」の求人では選考が進むことがある。

この記事で紹介する事例について

本記事の事例は、弊社の支援の中で見られた典型例をもとに、特定できないよう再構成したものであり、実在の一社・一名の経過をそのまま記したものではない。企業名、求人番号、金額、日付、人数など、組み合わせると特定につながる情報は記載していない。

6つの事例は、見送りと通過を分けた要因ごとに次のように整理できる。

事例

類型

結果

主な要因

1

開始時期のずれ

見送り

海外在住でビザ待ちが必要

2

研究中心の経歴でプロセス職へ

見送り

量産現場の経験が確認できない

3

職種名は近いが業務がずれる

見送り

検査の求人に解析寄りの経歴

4

半導体経験のない材料系の博士

見送り

半導体の業務経験がない

5

英語で受け入れる部署での選考

見送り

英語でのコミュニケーション

6

量産未経験でも業務が一致

職場見学まで進む

中核業務と経歴が直接一致

各事例は「背景→求人の業務→候補者の経歴→結果→学び」の順に整理している。職種全体の俯瞰は外国人半導体エンジニアの採用ガイドを先に読むと位置づけが分かりやすい。

事例1:開始時期が合わず見送られ、日本在住者へ切り替えた

開始時期の見送りは、候補者の能力とは関係なく起きる、最も防ぎやすい見送りである。急ぎの求人に、海外在住でビザ待ちが必要な候補者を出したことが原因だった。

項目

内容

背景

立ち上げ中のラインで欠員が出ており、早期の着任を求める求人

求人の業務

プロセス系の装置を用いた条件出しと日常の工程管理

候補者の経歴

海外在住。量産ファブでの実務経験があり、業務内容とはよく一致していた

結果

「開始日が先付」「3か月以上は待てない」との理由で見送り

学び

急ぎの求人には、日本在住で就労可能な在留資格を持つ人を優先して提案する

海外から呼び寄せる場合、在留資格認定証明書の交付申請の標準処理期間だけで1〜3か月あり(出入国在留管理庁の案内)、退職・査証・渡航を加えると、弊社の実績では就業開始まで約6か月を見込む必要がある。一方、日本在住で就労可能な在留資格を持つ人であれば、弊社の実績では1〜2か月程度で就業開始に至ることが多い。

この事例の後、同じ種類の急ぎの求人では、日本在住の候補者に絞って提案する運用に切り替えた。提案の段階で就業開始可能日を明記しておけば、企業側も書類の段階で判断できる。期間の比較は半導体エンジニア採用のリードタイムで詳しく扱っている。

事例2:研究中心の経歴でプロセス職に出し、量産経験を理由に見送られた

プロセス系の求人では、研究の実績がどれだけ豊富でも、量産ファブでの実務経験が確認できなければ見送られやすい。この事例はその典型である。

項目

内容

背景

量産ラインのプロセスを担当する技術者の募集

求人の業務

エッチングの条件出し、量産装置の管理、工程異常の対応

候補者の経歴

大学・研究機関のクリーンルームでの研究とポスドク経験が中心。成膜・エッチングの研究実績は豊富

結果

「量産装置での経験がない」「アカデミック中心で量産現場の経験が確認できない」との理由で見送り

学び

研究中心の経歴は、量産プロセス職ではなく、研究経験が業務の中核に当たる職種で検討する

研究用の装置と量産装置では、求められる管理の仕方が違う。研究では一つの条件を深く追うが、量産では多数のロットを安定して流し続けることが求められる。企業側が見ているのは、この後者の経験である。

研究機関出身の人材が活きやすいのは、TCAD・デバイス評価、解析、検査、信頼性評価など、研究での手法がそのまま業務になる職種である。この事例の後、同じような経歴の候補者は、これらの職種の求人から検討する方針にした。職種の選び方と在留資格の変更は外国人研究者を企業で採用する、TCAD・デバイス職の要件はTCAD・デバイスエンジニアの採用で扱っている。

事例3:職種名は近いが業務がずれ、「解析寄り」で見送られた

職種名が似ていても、業務の中身がずれていれば見送られる。検査の求人に解析寄りの経歴の候補者を出したこの事例は、その分かりやすい例である。

項目

内容

背景

製造工程の中で欠陥を見つける検査部門の募集

求人の業務

検査装置の操作、測定、検出した欠陥の分類

候補者の経歴

故障解析・物理解析の経験が中心。装置を日常的に操作して測定する業務の経験は少ない

結果

「解析部寄り」との理由で見送り

学び

検査(装置操作・測定)と解析(原因の究明)は別の仕事として照合する

同じ構図は、WETの求人にCMP寄りの経歴の候補者を出した場合にも見られた。どちらもウェーハ表面を扱う工程だが、使う装置も管理する指標も違い、企業側からはミスマッチと判断された。

この種の見送りを防ぐには、求人票の業務内容を1行ずつ取り出し、候補者の経歴のどこに直接当たるかを照合するしかない。業務の過半が経歴に直接当たらなければ、職種名が近くても提案しない。検査と解析の違いは半導体の解析エンジニアの採用で詳しく扱っている。

事例4:材料系の博士だが、半導体の経験がなく見送られた

材料・金属系の専門性が高くても、半導体の業務経験がなければ見送られることがある。学位の分野が近いことは、業務の一致を意味しない。

項目

内容

背景

材料・プロセスの知見を求める技術部門の募集

求人の業務

半導体製造に用いる材料・金属膜の評価と工程への適用

候補者の経歴

材料工学・金属系の博士。研究実績はあるが、半導体の製造・評価に関わった経験はない

結果

半導体の経験がないことを理由に見送り

学び

「分野が近い」だけで合格見込みと判断しない。半導体の業務に直接触れた経験を確認する

材料系の博士は、一見すると半導体の材料・プロセス職に近く見える。しかし、企業側が見ているのは、半導体の製造工程の中で材料をどう扱ったかという経験である。基礎研究の実績だけでは、その経験の代わりにならない。

事例5:英語で受け入れる部署でも、英語でのやりとりで見送られた

英語で受け入れる前提の部署であっても、英語でのコミュニケーションが業務の水準に届かなければ見送られる。英語可の求人だから英語の確認は不要、とは言えない。

項目

内容

背景

外国人の受け入れ実績があり、英語での業務を前提とする部署の募集

求人の業務

技術的な打ち合わせ、報告、他部署との調整

候補者の経歴

技術的な経歴は求人と一致していた

結果

「英語でのコミュニケーションが難しい」との理由で見送り

学び

英語力は書類上の表記ではなく、面談で実際の業務に近い会話をして確かめる

言語に関しては、選考の途中で求人の要件が日本語必須に変わる例もあった。また、解析やCMPなど現場との調整が多い部署では、日本語が必須とされることが多い。英語で受け入れる部署かどうかは、求人ごと・時期ごとに確認し直す必要がある。日本語要件の考え方は外国人エンジニアに日本語はどこまで必要かで扱っている。

事例6:量産未経験でも業務が一致し、職場見学まで進んだ

量産経験がなくても、求人の中核業務と経歴が直接一致していれば、量産経験が「尚可」にとどまる求人では選考が進むことがある。この事例は、事例2・4と対照的な結果になった。

項目

内容

背景

製造工程の欠陥を検査・解析する部門の募集。量産経験は「尚可」

求人の業務

SEM/EDXでの欠陥解析、測定、測定データの解析

候補者の経歴

材料系の出身で量産ファブの経験はない。SEM/EDXを用いた観察・測定とデータ解析を日常的に行ってきた

結果

書類選考を通過し、職場見学まで進んだ

学び

業務の一致が強ければ、量産経験が「尚可」の求人では通ることがある

事例4の候補者との違いは、学位の分野ではなく、求人の業務の各行に経歴が直接当たっていたかどうかにある。この候補者は、求人に書かれた装置・手法・データの扱いをすべて経験していた。量産経験の有無より、業務そのものの一致が評価されたと考えられる。

なお、派遣で受け入れる場合、紹介予定派遣を除き、派遣先は事前面接など派遣労働者を特定する行為をしないよう努めることとされており、職場見学の場で業務内容の説明と職場の確認を行う形になる。

6つの事例から見える共通点

6つの事例に共通するのは、見送りの多くが候補者の能力不足ではなく、求人と候補者の組み合わせの段階で予測できたという点である。予測の手がかりは、次の順に確認すると整理しやすい。

  • 開始時期:内定から就業開始までの期間が求人の許容範囲に収まるか。急ぎの求人では日本在住で就労可能な人を優先する。

  • 言語:部署が英語で受け入れるか。英語可でも、実際の会話で水準を確かめる。

  • 量産経験:プロセス系では量産ファブでの実務経験が見られる。研究中心の経歴は職種を選ぶ。

  • 業務の一致:求人の業務内容の各行と経歴を1対1で照合し、過半が直接当たるかで判断する。

  • 半導体経験:分野が近いだけでは足りない。半導体の業務に直接触れた経験を確認する。

この順番は、上ほど候補者の努力では変えられない要素になっている。開始時期と言語で合わない候補者を、業務の一致で押し込もうとしても通らない。

採用する企業側が事前にできる対策

見送りの多くは、求人票の書き方と、提案を受ける段階での確認で減らせる。企業側が事前にできることは、次の3点に集約される。

第一に、求人票に着任希望時期と、量産経験が必須か尚可かを明記する。「量産ファブでの実務経験」が必須なのか、「研究・大学のクリーンルームの経験も可」なのかが書かれていれば、紹介会社の側で候補者を絞れる。第二に、業務内容を1行ずつ具体的に書く。「検査」ではなく「検査装置の操作と測定」、「解析」ではなく「SEM/EDXでの欠陥解析」と書けば、事例3のようなずれは減る。第三に、英語で受け入れる部署かどうかと、その判断が変わる可能性を共有しておく。

求人票の書き方は半導体エンジニアの求人票テンプレートで具体例を示している。

よくある質問

Q. この記事の事例は実在の企業の話ですか

弊社の支援の中で見られた典型例をもとに、特定できないよう再構成した類型事例です。実在の一社・一名の経過をそのまま記したものではありません。企業名、求人番号、金額、日付、人数など、組み合わせると特定につながる情報は記載していません。

Q. 海外在住の候補者は提案しないほうがよいのですか

求人によります。「開始日が先の日付では困る」「3か月以上は待てない」と明確に示されている急ぎの求人では、日本在住で就労可能な在留資格を持つ方を優先したほうが合理的です。着任時期に余裕のある求人では、就業開始可能日を正直に示したうえで海外在住の方を提案できます。

Q. 研究機関出身の外国人は採用しにくいのですか

職種によって大きく違います。量産プロセスの職種では量産ファブでの実務経験が重視されるため不利になりやすい一方、TCAD・デバイス評価、解析、検査、信頼性評価などは研究での経験が業務の中核に当たることがあります。研究中心の経歴の方は、まずこれらの職種で検討してください。

Q. 量産経験がない候補者が選考を通ることはありますか

あります。量産経験が「尚可」にとどまる求人で、求人の中核業務と経歴が直接一致している場合です。事例6のように、SEM/EDXでの欠陥解析や測定、データ解析といった業務をそのまま経験している方は、量産経験がなくても評価されることがあります。

Q. 英語で受け入れる部署なら、英語力の確認は不要ですか

確認は必要です。英語で受け入れる前提の部署でも、英語でのコミュニケーションを理由に見送られる例があります。書類上の表記ではなく、面談で実際の業務に近い会話をして水準を確かめてください。また、選考の途中で要件が日本語必須に変わることもあるため、求人ごとに最新の条件を確認してください。

Q. 見送りを減らすために、求人票で何を書けばよいですか

着任希望時期、量産経験が必須か尚可か、業務内容の具体的な中身、英語で受け入れる部署かどうかの4点を明記してください。とくに業務内容は「検査」「解析」といった職種名ではなく、使う装置や手法まで書くと、職種名が近いだけのミスマッチを減らせます。

Q. 見送られた候補者を別の部署に提案し直すことはできますか

原則として、一度見送られた方を同じ企業に再提案することは慎重に扱う必要があります。別の部署で業務が明確に一致する場合でも、同一人物であることを明示し、企業側の了解を得たうえで進めるのが適切です。

まとめ

  • 事例は、弊社の支援の中で見られた典型例をもとに、特定できないよう再構成した類型である。

  • 開始時期の見送りは、急ぎの求人に海外在住でビザ待ちが必要な候補者を出したときに起きる。日本在住で就労可能な人を優先する。

  • プロセス系では量産ファブでの実務経験が見られる。研究中心の経歴は、TCAD・解析・検査・信頼性など研究経験が活きる職種で検討する。

  • 職種名が近くても業務がずれれば見送られる。求人の業務内容の各行と経歴を1対1で照合し、過半が直接当たるかで判断する。

  • 英語で受け入れる部署でも英語力は面談で確かめる。要件が途中で日本語必須に変わることもある。

  • 量産経験がなくても、中核業務と経歴が直接一致すれば、量産経験が「尚可」の求人では選考が進むことがある。

淡路グローバルゲートウェイ(AGG)では、半導体の求人ごとに業務内容と候補者の経歴を1行ずつ照合したうえで、外国人エンジニアのご紹介と派遣をお引き受けしております。求人票の見直しや、どの職種なら外国人を受け入れやすいかの整理からご支援しておりますので、無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。

監修者

Naoya Mitani /淡路グローバルゲートウェイ(AGG) 事業統括責任者

インドITエンジニアの可能性に着目し、AGGのIT人財部を設立しました。事業統括責任者として、エンジニア派遣事業の戦略立案と実行を担っています。

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